平成27年10月16日(金曜日)に開催された大学教育部会の資料が文部科学省のホームページで公表されています。
既に目を通した人も多いでしょうが、9月4日に行われた大学教育部会の審議の主な意見として①3つのポリシー、②入学者選抜、③評価についてや、今後の大学教育部会で審議してほしい事項として①3つのポリシー、②認証評価関係が挙げられています。
この評価ですが、大学には自己点検評価、PDCA、内部質保証、最近は質的転換答申から記載されているアセスメントポリシーなど様々な用語があります。そこで今回は、「評価」についてを取り上げてみます。
なお、大学評価の経緯や用語の説明等は少し前のサイトですが次に簡潔まとめられています。
http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/kentoukai/yousei/dai5/5monbu_siryou3.html
特に用語の定義については、どのような評価があるかを把握する上で分かりやすいです。
○自己点検・評価 … 各大学がその理念・目標に照らして自らの活動状況について点検・評価
○外部評価 … 大学によって選任された当該大学以外の評価実施者が評価
○第三者評価 … 当該大学から独立した第三者が専門的・客観的な立場から評価
また次も参考になります。
評価の歴史的経緯は上記で概観できますので、ご覧下さい。
また各大学の取組みとして明治大学の大学評価のサイトは勉強になります。
明治大学のこのサイトでは、「自己点検・評価体制図」は特に見ていただきたい箇所です。特に各学部・研究科・センター等に自己点検評価委員会が設置され、学内での流れがよく分かります。
さて上記には記載されていない用語且つ近年は良く目にする語として「アセスメント」と「内部質保証」が挙げられます。
アセスメントについては以前触れたことがありますね。
またツイッターでは次の書籍を紹介しました。
学生の学びを測る ─アセスメント・ガイドブック─ (高等教育シリーズ)
- 作者: リンダ・サスキー,齋藤聖子
- 出版社/メーカー: 玉川大学出版部
- 発売日: 2015/09/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
この本には、アセスメントと評価の違い等について触れておりますが、特に紹介する箇所としてアセスメントとアカウンタビリティ(説明責任)の違いにおいて、前者が学生の学習について検証、後者はアセスメントの結果を用いてプログラムや大学の質を示すと整理されています。
そういえば以前、大学基準協会の第3期(平成30年~)の基本方針についてふれましたが、この中に「②アウトカムを視野にいれた評価の実現」がありました。おそらくはアセスメントポリシーを策定し、アセスメントプランを策定⇒試行しながら改善していく作業を実施していけば第3期の方針として一部達成できるかと考えられます。
さて「内部質保証」は、大学基準協会から出版されている「内部質保証ハンドブック」がコンパクトにまとまっています。
また大学基準協会のHPにある「大学評価ハンドブック」では「内部質保証」は次のように定義されています。
PDCAサイクル等の方法を適切に機能させることによって、質の向上を図り、教育・学習その他のサービスが一定水準にあることを大学自らの責任で説明・証明していく学内の恒常的・継続的プロセス
どうもこの説明だと自己点検・評価との違いがよく分かりません。そこで大学教育部会(第38回)の資料2-2を見てみましょう。
資料2-2の3Pに「我が国の大学の質保証のイメージ図」とあり、①内部質保証、②設置認可審査、③大学設置基準、④認証評価、⑤社会への情報公表と整理されています。①の内部質保証には、ⅰ.教育研究活動、ⅱ.自己点検・評価、ⅲ.自己改善のサイクルが内包されています。
また紹介した明治大学に評価に関わるサイトでも、サイト構成を見ると内部質保証の中に自己点検・評価があることが読み取れます。
大学評価といっても、色んな言葉で出てまわり別々のように感じ取れるかもしれませんが、「アセスメント」・「自己点検・評価」・「内部質保証」はいずれも関係もしくは重複しているものです。大きい大学では評価室が設置され、そのあたりのマネジメントを行っているのでしょうが、評価室がない大学は上記3つの業務に関わる人は、互いに関係があり、どのように大学で位置づけで行っていくかをを理解しておく必要があります。(そうでないと同じ事(点検評価や指標の作成など)を何回も行う事になり、現場の負担となってしまいます。)