大学は、7年に一度文部科学大臣の認証を受けた評価機関(認証評価機関)による評価(認証評価)を受ける必要があります。大学関係者は、それこそ○○大学は今年(認証評価を)受けていると聞くと「大変だね」と思うものです。
評価といっても、大学を貶めたいとか不適合の烙印を押したいなどそういうものではなく原則は大学の質向上をはかる為のものです。
( 「大学 認証評価 不適合」でニュース検索すると色々出てきますが、ここではあえてリンクはとりあげません)
また認証評価の詳しい説明は次のリンクが参考になります。
<参考>文部科学省 認証評価制度
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1406245.htm
さて、認証評価は7年に1回受ける必要があり、平成16~平成22年が第1期、平成23年~29年が第2期、平成30年からが第3期です。
この記事を書いた時はまだ認証評価第2期の途中であり、第2期は学内で内部質保証システムをきちんと構築しているかが問われていました。第2期を終えてほっとしている(特に第2期を早々に受けた)大学も少なくないでしょうが、次の第3期は平成30年と考えるとそろそろ第3期を見据える必要があります。
そこで先日、公益財団法人 大学基準協会が発行した「大学基準協会の歩みと展望」に第3期の基本方針が掲載されていましたので、紹介と考えなければいけない事をまとめました。
<参考>大学基準協会
現状、大学基準協会では7つの方針が第3期に向けって立てられています。それら7つを紹介します。
- ①内部質保証の構築と有効に機能しているか
- ②アウトカムを視野にいれた評価の実現
- ③多様な大学に対応した評価
- ④大学としての基礎的要件
- ⑤大学評価の国際的な通用性
- ⑥社会との関係を重視
- ⑦大学及び評価者の負担
- 終わりに
①内部質保証の構築と有効に機能しているか
内部質保証は例えば自己点検評価委員会を設置し、委員会がきちんと運営され、自己点検がなされているかと考えます。また大学全体の自己点検のみならず、枝葉まで自己点検をきちんと取組んでいる事が必要かと思います。(一言で言えば、「自己点検評価は作文ではないよ」)
②アウトカムを視野にいれた評価の実現
学生の学修成果を含めて、大学の活動がどのような成果を出しているかという事ですが、以前本ブログでも取り上げたアセスメントポリシーやアセスメントプランを構築し運用していく事によって、多少なりとも評価に値するのではないでしょうか
③多様な大学に対応した評価
大学は国公私立をはじめ、地域や規模、さらに歴史などざまざまです。またここで気になるのは『「達成度評価」を中心に改善を図ること』と記載されています。例えば、各大学が然るべきヴィジョンを策定し、そのヴィジョンに沿って中長期計画を策定、その達成度を評価するという事も考えられます。
④大学としての基礎的要件
大学の基礎的要件は、例えば大学設置基準などの法令が該当します。例えば教員数が足りているかや施設などについても問われるでしょう。
⑤大学評価の国際的な通用性
ここでは『国際展開を図ろうとするわが国の大学に益するようにしていく」とあります。工学や医学の分野では国際性のある質保証が進みつつあると考えているのですが、では他の分野はどうかというとそこは疑問です。認証評価を受けることによって、大学が国際的にも通用すると太鼓判があると凄いと思いますが、地方の小規模中規模の大学でグローバルを目指していない大学は厳しい文言ではあります。
⑥社会との関係を重視
『大学評価を通じた各大学の特色・個性を適切に社会に伝える』と『大学評価に社会の声を反映できる仕組みを構築する』の2つが説明されています。認証評価は、先述のように大学の質を高めるものであり、大学を画一化しようというものではありません。なお、大学の評価報告書はインターネットで閲覧できますので、大学を選ぶ際の資料となるのにといつも思っています。また2つ目の社会の声の反映は、非常にきになる所です。
⑦大学及び評価者の負担
認証評価は受ける大学も、そしておそらく評価する先生も非常に大変な事業です。作成する書類や証拠帳票類も膨大ですので、多少なりとも負担減となるのは非常に歓迎すべき事ですね。
終わりに
さて、7つの方針を紹介させていただきましが、個人的には気になるのは②と③です。②のアウトカムはどのように行うのか、特に学生の学修成果の可視化は様々な大学で取組まれていますが、それを全部模倣するのではなく、大学が独自にアウトカム評価を構築する必要があります(ある資料ではアセスメントポリシーを設定している大学の割合は想像以上に多かったのですが、ホームページで公開されている大学がほとんどない事をふまえると、ポリシーは出来てもどのように評価をするかというプランがまだ出来ていないのかもしれません)
そもそも認証評価の為に取組むのではなく、日ごろからの取組が重要であると思います。また認証評価は教員の事項ではなく、事務組織も含め大学全体が取組まなければならないものです。職員としては認証評価の概要やどのように評価をされているかは大学基準協会のホームページで他大学の評価はハンドブックを見ながら学ぶ必要があると感じています。