中規模小規模の私立大学は、私立大学等改革総合支援事業を皮切りに、IR室を設置した大学は少なくないのではないでしょうか。私自身が勤める大学も同様の状況ですが、IR室のヴィジョンをどうするかは暗中模索の段階です。
さて、それでもどうにかしないといけないと思いつつ、周りから「どうするの?」と聞かれ、「私、執行部ではないので知りません」と言っております。しかし、そのうち来るであろうIR室のミッション策定の仕事の為、表題の通り、考えをまとめるためメモを記事として挙げてみます。
ここで書いたメモは一例ですので、大学や考える人によって様々なものや考えがあるかと思います。 またIRの定義とか、学内の規程とかその辺は今回は放っています。
Ⅰ・内部からIR室に求めている、もしくは期待されているもの
①自己点検評価
大学が年度ごとや中長期的な目標数値を掲げている場合もあります。その為のデータの収集や分析を行う場合があると考えています。また年次報告書を刊行し、データ編がある場合は、関わる可能性があります。
②質保証に関わる業務
平成24年度の質的転換答申ではアセスメントポリシーについて言及され、各大学がどのようにアセスメントを行うかを検討し実施する過程でIR室は関わることが多くあると考えています。何をもって質保証とするかですが、GPAや学生の行動(例えばLMS:ラーニングマネジメントシステムのログ、学習行動調査)、資格取得率など様々なデータを必要に応じて組み合わせアセスメントを構築することも必要です。
③各種調査
学生生活の調査は、多くの大学で行われています。しかし近年、補助金の要件としても、学修時間・教育の成果等に関する情報の収集・分析をIR室が行うことを要件としていたり、学修行動調査も大学IRコンソーシアムをはじめ、様々な大学で実施されつつあるかと思います。
④学内からの要望に基づいた情報収集及び分析
IR室が、学内に認知されてくると、こういうデータ分析をして欲しいとか出てくるのではと思います。IR室や依頼部署が持っているデータを組み合わせ、業務を行うのはいいかと思うのですが、グラフを作るのが面倒とかいう理由でグラフ等作成部署という見方をされないように気をつけないといけないのではと思います。
その前にあ、各部署にあるデータがどのような形でどのような定義でデータを持っているか、そしてどのようなシステムがあり、どのようなデータを持っているかを把握しておかないといけないのですが。
⑤大学の情報公開
①~④を書いてる中、ふと思い正しました。大学は情報公開をしていますので、そのあたりの情報も必要ですね。
Ⅱ・外部からIR室に(間接的に)求めている、もしくは期待されているもの
①学校基本調査
②学校法人等基礎調査
「平成26年度 学校法人等基礎調査」調査様式等のダウンロード|私学振興事業(助成業務)|私学事業団
③大学ポートレート
④調査会社やマスコミからの依頼の調査
例 読売新聞 大学の実力の調査
各種調査は、同じような質問項目でも、データ定義が違ったりするので、そのままのデータが使いまわせないことも多々あります。
⑤認証評価(第3者評価)
私立大学は7年に1度受ける認証評価は、例えば大学基準協会は大学基礎データを出す必要があります(昔に比べて項目が減っているようです)
あとは授業アンケートも入るかなとか色々思い浮かぶのですが、キーポイントとしては、経営企画室やFDセンター(高等教育センターのような役割)とIR室がどのようにミッションを持ち、役割をそれぞれ担うかではないかと考えています。
特にIR室が教育の質保証を行うかどうかも大きな論点であり、高度専門職としてIR担当者がいるならともかく、職員のみのIR室であれば教育の質保証に関わる業務は支援はできても質保証そのものを行うことは難しいだろうと感じています。
なお、本記事は今後加筆や変更等も行う予定です。