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H25年度大学の学部学科設置書類から見る大学の状況②~1授業あたりの履修人数から職員ができる支援について~

前回、平成25年度の学部学科設置書類から、文部科学省に学部等の新設をする際に提出する書類に、各大学が学生確保の見通しをどのように記載しているかを見てみました。


H25年度大学の学部学科設置書類から見る大学の状況①~学生確保の見通し~ - 大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

 

今回は同じデータを活用して、教育方法、特にどのぐらいの規模で授業を行うかということについて、職員としての立場からみてみます。

 

さて、近年、(講義型で一方向ではない)双方向型の授業、アクティブラーニングの導入について学生の学びの観点等から論じられております。シラバス依頼でもアクティブラーニングを取り入れましょうと書いてある大学も少なくないかと推察されます。

そこで聞くのが、「大規模人数の講義人数では、アクティブラーニングは無理だ!」や「1科目あたりのクラス数を増やして、少人数化しろ」という意見です。

 

そこで今年開設した学部学科等は、授業の規模をどのように文部科学省に出しているのでしょうか。

前回と同じく、設置申請書類の設置の趣旨から簡単にまとめてみました。

 

なお、参考した申請年度の基準である文部科学省にある「大学の設置の手引き( 平成2 5 年度改訂版)」には下記のように記載されています。

参照元 大学の設置等に係る提出書類の作成の手引き( 平成2 5 年度改訂版)

設置申請書類 設置の趣旨 「キ:教育方法,履修指導方法及び卒業要件」

【大学設置基準第24条~第25条の2,第27条の2~第30条の2,第32条,第45条,短期大学設置基準第10条~第11の2条,第13条の2~第16条の2,第18条~第19条,第38条】
・上記のエを踏まえて,教育課程について,授業の内容に応じた授業の方法をどのように設定するのか,また授業方法に適した学生数をどのように設定するのか,配当年次をどのように設定するのか等について詳細に説明してください。
・卒業要件については,科目区分ごとに必修,選択必修,選択等の科目数,単位数について,「教育課程等の概要」で記載した内容に関して,その考え方等について記載してください。
・履修モデルを添付してください。履修モデルは,養成する具体的な人材像に対応したものごとに作成し,卒業要件単位数で作成してください。養成する人材像が複数にわたる場合は,複数作成してください。
学位論文の作成に関連する研究活動などを単位として認定する場合,大学設置基準第21条等を踏まえ,単位数の妥当性について説明してください。
・多様なメディアを利用して授業を行う場合は,その卒業要件等との関係を含めて,その取扱いについて記載してください。
・履修科目の年間登録上限や,他大学における授業科目の履修等についても,考え方を記述してください。
・共同学科を設置する場合,上記エと同様に,自大学の開設科目のみではなく,他の構成大学の開設科目を含む共同教育課程全体について上記の項目を説明してください。
・それぞれの専任教員が担当する主要科目について授業方法・内容,年間の授業計画が分かる資料(シラバス等)を別記様式第2号(その3の1)又は別記様式第2号(その3の2)の後に添付してください。大学院に係る申請の場合には,全ての授業科目のシラバス等を添付してください。

 今回、該当する箇所は赤字の「授業方法に適した学生数をどのように設定するか」ですが、この他にも様々な項目が必要です。(このように、設置申請書類は公開されており、細かく記載されているので、受験生や受験生の保護者の方は大変参考になります。)

 

さて、本テーマの該当箇所についてですが、下記の通りです。

演習科目の1例で30~40人程度のクラス制
・講義形式80~150人
・演習25~40人
・実習及び実践形式20~50人
・講義科目で最大250名(TAを配置)
・学部基礎科目は100名程度
・各科目群ごとに詳細に記載
・例えば科目群の基礎科目は1クラス40人程度
・専門教育も含めて少人数で行う
・クラスあたりの履修人数の記載なし
・少人数制のゼミの実施(7~10名程度)
・少人数制の演習(6~15名)
・講義科目は50~100名
・研究科目は10~20名
・<講義>・<演習>・<実習>の3つのプログラムを設けており、各プログラムの人数は、10人~15人を想定
・演習の規模を20程度を基本
・講義を100人以下

記載方法は様々ですが、授業方法に適した学生数をまったく記載していない大学もいくつも見受けられました。

・少人数の演習等

・少人数授業

・講義は100名~150名、ただしもっと多い場合はTA等で工夫

このあたりが大きなキーワードですね。私は職員ですので、職員の立場からすると学部等の設置において、現状の施設の現状と今後の見通しを踏まえているかが非常に気になります。

本学でも教室が足りないと教務担当者は言っておりますが、調べてみると少人数教室は使用頻度が高いですが、多人数の教室は使用率があまり高くないということもあります。最近の時間割は学生が体系的学べるように配慮する(=履修モデル通りの履修が担保する)必要がありますので。時間割との関連もあると思います。

 

設置の書類というのは、文部科学省だけでなく、社会と約束をした事項ですので、設置担当者のやった事ではなく、教学担当者もここを踏まえて、履修人数等を設定しなければなりません。

また大人数での授業はどのような支援を行えるかは、職員の腕の見せ所です。上記に250名での講義とあり、250名は非常に多いという印象ですが、TAを活用とあります。このようにTAあるいはSAを活用するための仕組みづくり(TASAは、配置すればいいというわけではなく充実した研修制度も必要です)や予算確保などをどう行うかも職員が関わる部分です。またICT等を用いた支援なども考えられます。

 

またICT等を活用した学習支援体制の構築、教室の規模に関わらず双方向型授業を行いやすい教室の検討なども考えられます。

特にアクティブラーニング、グループワーク等が出来やすい教室にしようとすると(個人的経験ですが)今までの教室定員の半分程度になってしまいます。

 

このあたりの事項については、将来等の予測も踏まえ、現状の課題等から授業支援をどう行うかは教学だけの問題ではなく大学全体として捉える必要があります。