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COC採択一覧の申請名称から見る、COC事業の方向性について

本日、平成26年度のCOC事業の採択結果が公表されました。

平成26年度「地(知)の拠点整備事業」の選定状況について:文部科学省

 

COC事業については、このブログでも2回ほど紹介しております。

COC事業を申請する意義について - 大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

COC事業名から見る各大学のキーワードは何か? - 大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

 

今年度は26大学(件数は共同申請1件採択の為、25件)が採択されております。昨年度の事業では、56大学(52件)が採択されていますので、82大学が地域に志向した大学として補助金を受けていることになります。

 

今年度の採択された大学一覧を見てみると、国公私立、短大、高専、共同申請とバランスよく採択されていると感じます。首都圏の採択が少ないのも、今回の特徴ではなかろうかと思います。また今年度で全ての都道府県に、COCが採択されていると聞いています。

 

それでは採択された大学はどのような名称(内容)で申請をしているのでしょうか。前回は、平成26年のCOCの申請大学の事業名から、いくつか分析をしてみましたが、今回は平成25年度及び平成26年度のCOCを採択された事業名を前回同様に集計しました。(今回も「KH Coder」を用いて、出現回数・複合語・クラスター分析・共起ネットワークを作成しました。)

<参考>

出現回数⇒回答の中でどのような語句が使用されているかを示した表である。

クラスター分析⇒事業名で使用されている語句を対象に、抽出語の階層的クラスター分析を行い、デンドログラムを表示しています。

共起ネットワーク⇒出現パターンが似通っている語を線で結んだ図表です。出現数に応じて語句の大きさが変化し、共起が強い場合は線が増えている。カラーは、比較的強くお互いに結びついている部分を検出してグループ分けを行っている。

 

 

1・抽出後の出現回数について

抽出語 出現回数 抽出語 出現回数 抽出語 出現回数
地域 49 開発 2 一人ひとり 1
人材 22 活力 2 一体化 1
育成 20 環境 2 茨城 1
拠点 20 京都 2 運営 1
事業 15 2 縁結び 1
社会 11 共に 2 1
教育 10 形成 2 加速 1
10 芸術 2 可能 1
未来 10 健康 2 家庭 1
創る 9 工学 2 1
8 産業 2 火山 1
8 次世代 2 1
7 2 学び舎 1
プログラム 6 信州 2 学習 1
実践 6 推進 2 学生 1
大学 6 世代 2 活かす 1
コミュニティ 5 青森 2 活性 1
共生 5 創出 2 感性 1
5 創成 2 看護 1
整備 5 対話 2 観光 1
育つ 4 担う 2 還元 1
課題 4 地学 2 基軸 1
解決 4 通す 2 宮崎 1
構築 4 都市 2 宮城 1
再生 4 目指す 2 共存 1
志向 4 融合 2 協奏 1
自立 4 かけ橋 1 郷土 1
養成 4 せんだい 1 繋ぐ 1
連携 4 とき 1 結集 1
キャンパス 3 ひろしま 1 牽引 1
デザイン 3 びわ湖 1 原子力 1
プロジェクト 3 ふじ 1 減少 1
モデル 3 イノベーション 1 交流 1
3 インサイド 1 向き合う 1
仮称 3 オール 1 向上 1
学ぶ 3 カリキュラム 1 構想 1
向ける 3 クリエイティブ 1 江戸 1
高齢 3 ケア 1 貢献 1
3 スる 1 高める 1
持続 3 スター 1 高知大学 1
創造 3 ステーク 1 国立 1
拓く 3 プラス 1 今治 1
システム 2 プラットフォーム 1 佐賀 1
ブランド 2 ホルダー 1 最低 1
プロセス 2 マイ 1 災害 1
安心 2 ライフ 1 1
育てる 2 リソース 1 参画 1
育む 2 安全 1 産官学 1
価値 2 伊勢 1 四日市 1
改革 2 一貫 1 志摩 1

この一覧と、前回のCOC申請大学の事業名の一覧を見比べると、地域・人材・育成などは上位3位に入っているのは変わらないのですが、例えば健康や福祉など分野を狭める語句より、包括的に使用できる語句の頻度が高いと見受けられます。平成26年の申請では、健康や福祉分野の語句はいくつかあったのですが、的を絞った申請は採択が難しいのかもしれません。(この表は平成25年と26年の合算ですので、単純に比較はできません)

 

続いて複合語を見てみます。今までは単語だけの頻出回数ですが、どのように組み合わされているかが下記となります。

複合語 スコア
人材育成 61.60141
地域人材 28.27295
拠点づくり 27.49545
地域社会 16.8112
拠点整備 14.83117
拠点づくり事業 13.59809
地域再生 12.77375
地域づくり 10.38874
人材育成事業 8.281362
協創人材育成 7.920115
まちづくり 7.737346
地域貢献型人材育成事業 7.727726
地域協創型人材養成 7.405669
地域拠点整備事業 7.380685
地域人材育 7.366097
地域共生教育 7.14563
地域志向 7.068238
創造人材 6.928203
地域志向教育 6.811103
地域人材開発 6.562446
育成事業 6.402172
実践的人材 6.214465
人材育成推進事業 6.107243
未来づくり 6.0548
創生 6.0548
協奏型地域社会 6.003423

なお、スコアとありますが、これはスコアが高いほど複合語としての納得性が高いとシステムが出しています。

この複合語を見ると、先述したように包括的な内容が非常に多いと感じます。特に「人材」が非常に出てきます。まちづくりもある事はあるのですが、大学(教育機関)の人を育てる機能を地域に還元して欲しいという期待かもしれません。

参考としてCOCの目的についておさらいすると文科省のHPによれば下記のように書かれています。

「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」は、大学等が自治体と連携し、全学的に地域を志向した教育・研究・地域貢献を進める大学を支援することで、課題解決に資する様々な人材や情報・技術が集まる、地域コミュニティの中核的存在としての大学の機能強化を図ることを目的としています。

 

さて、次にクラスター分析です。

f:id:as-daigaku23:20140725171533p:plain

これも人材育成や地域との結びつきが非常に強いことが読み取れます。

 

最後に共起ネットワークも見てみます。

f:id:as-daigaku23:20140725171738p:plain

円の大きさは出現回数、線の太さは語句の結びつきを表します。これも見る限りは、大学の人材養成や拠点は非常に結びつきが強く、地域での人材育成を期待して採択されたのではと思います。

(ということは、次年度申請する際は、狭いテーマではなく、これらの語句も参考にして計画を練ったほうがいいのでしょうかね)

 

(さて結論というほどではないですが)簡単ではありますが、集計等を行ってみて、感じたことや課題についてまとめてみます。

○COC事業は、一部に特化した内容より、人材育成や拠点整備など包括的な内容が採択されているケースが多い。特に人材育成は重要なキーワードとなる。(ただし地域の課題になっていることが前提)

○今回は事業名だけだが、さらにCOC事業を申請する前の大学と地域の関係・地域の課題やCOC事業の内容も分析する必要がある。

補助金採択のファクターとして、学長のマネジメントやガバナンスがどのように影響をしているのか。また問われているのは地域に志向する大学になるという学長や大学の覚悟かもしれない

○今年度、採択されなかった大学の理由は何であろうか。(もしかしたら大学の地域志向だけを申請書に出してしまったところもあったのかもしれない)

 

さて、今後調べてみたいなと思うのは、よくあの大学は補助金をいつももらっているよねと主観で言われていることが多いのですが、ここ数年の補助金の採択状況を調べられるといいかなと思います。(膨らませば、高等教育関連の年報の資料ぐらいにはなるかもしれない)