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東京オリンピック及びパラリンピックの学生ボランティアの課題

オリンピック開催2年前となり、オリンピック・パラリンピックと大学との連携が進んでいます。

tokyo2020.org

 

さて、最近大学内外で話題になるのはオリンピックのボランティアについてです。ボランティアの募集はこれから始まるのですが、案として「大会ボランティア募集要項(案)」は既に公開されています。

tokyo2020.org

 

この要項(案)を見ると、ボランティアの応募条件として次のように記載されています。 

1.2002年4月1日以前に生まれた方
2.東京2020組織委員会が指定する全ての研修に参加可能な方
3.活動期間中において、日本国籍を有し、又は日本に滞在する在留資格を有する方
4.大会期間中及び大会期間前後を通じて、合計10日以上活動できる方
5.東京2020大会の成功に向けて、情熱を持って最後まで役割を全うできる方
6.お互いを思いやる心を持ちチームとして活動したい方

そうするとオリンピックが行われる2020年時点で18歳の人が該当します。つまり、高校生の時にボランティアを申し込んだ人は、大学生の時にボランティア活動をする事となります。

 

では、大会までボランティアはどんなスケジュールになるのでしょうか?

簡単に図にしてみました。

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出典:東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 大会ボランティア募集要項(案)より作成

 

2018年はボランティアの募集や面接等が始まり、次年度前期は面接会が主になります。そして次年度後期については研修が実施されることとなります。

また2020年の前期には役割別やリーダーシップ、会場別の研修も実施されるそうです。

 

ここで不安なのは、面接や研修が授業と重なることですね。予定上では夏期休暇期間ではなく、ほぼ授業期間に面接も研修も実施されます。研修は何日参加するとかはまだ分かりませんが、スケジュール的にかなり厳しそうです。

 

また他にも懸念はあります。資格取得を目指す学生は、夏や春に実習などが入ります。これをどうするかは予め検討をする必要がありますし、授業を欠席した学生は補講するのかどうかといった配慮も考える必要があります。

 

さらに、就職活動とも兼ね合いがつくのかは不安材料です。例えば夏に行われるインターンシップはオリンピックと期間が重なりますし、2020年に4年生の学生は就職活動真っ只中です。

 

大学として何も手段を講じずに、次年度以降、個人でボランティアを申し込んだ学生がおり、実習や授業について配慮して欲しいといった場合、大学としてどのようなスタンスでいるのかは、今から検討が必要ではないでしょうか。

 

また、次年度以降の新入生には、入学時にボランティアを既に申し込んでいるかどうかを確認しておく必要があるかもしれません。