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大学職員が理解すべき大学設置基準と解説⑥収容定員

 今回は大学設置基準第5章の「収容定員」ですが、非常に短いです。まずが該当の大学設置基準を見てみます。

(収容定員)

第十八条 収容定員は、学科又は課程を単位とし、学部ごとに学則で定めるものとする。この場合において、第二十六条の規定による昼夜開講制を実施するときはこれに係る収容定員を、第五十七条の規定により外国に学部、学科その他の組織を設けるときはこれに係る収容定員を、編入学定員を設けるときは入学定員及び編入学定員を、それぞれ明示するものとする。

2 収容定員は、教員組織、校地、校舎等の施設、設備その他の教育上の諸条件を総合的に考慮して定めるものとする。

3 大学は、教育にふさわしい環境の確保のため、在学する学生の数を収容定員に基づき適正に管理するものとする。

まず収容定員は、学科(大学設置基準第四条)または課程(大学設置基準第五条)で定め、学則に定める必要があります。これは学校教育法施行規則の第四条にも記載があります。

第四条 前条の学則中には、少くとも、次の事項を記載しなければならない。
一 修業年限、学年、学期及び授業を行わない日(以下「休業日」という。)に関する事項
二 部科及び課程の組織に関する事項
三 教育課程及び授業日時数に関する事項
四 学習の評価及び課程修了の認定に関する事項
五 収容定員及び職員組織に関する事項
六 入学、退学、転学、休学及び卒業に関する事項
七 授業料、入学料その他の費用徴収に関する事項
八 賞罰に関する事項
九 寄宿舎に関する事項

 また収容定員をどのように定めるのかは、大学・短期大学・大学院を並べると以下のようになります。

・大学は学科または課程を単位として、学部ごとに定める。

・短期大学は(学生定員)を学科ごと、また学科に専攻課程を置くときは、専攻課程を単位として学科ごとに定める。

・大学院は課程の区分に応じ、専攻を単位として研究科ごとに定めます。

 

 さて、この収容定員ですが、教員数や校地、校舎の面積の算定基準ともなる数字です。学生数は収容定員に基づき適正に管理しなさいとありますが、収容定員を大幅にこえて学生数を受け入れることは、設置基準に定められている最低限の教員数や校地校舎を下回ってしまい、教育研究やその環境の質の低下を招いてしまいます。では収容定員を一定の幅をこえて学生の増減があるとどうなるのでしょうか。例えば私学ではあれば下記のように、私立大学に補助金を交付しない例として次があります。

当該年度の 5 月 1 日現在の在籍学生数(大学設置基準第 30 条の 2 又は短期大学設置基準第 16 条の 2 に定める修業年限を超えた一定期間にわたる計画的な履修を認められた学生(以下「長期履修学生」という。)については、別記1により取扱うものとする。以下同じ。)の収容定員に対する割合が 1.50 倍以上(収容定員 8,000 人以上の大学等は 1.40 倍以上)の私立大学等。

(平成29年度私立大学等経常費補助金取扱要領)

http://www.shigaku.go.jp/files/29.pdf

 

 最後に大学は今後人口(特に18歳人口の)減少がある中で、自らの規模(収容定員)をいかにあるべきかを常に検討していく必要があると思っています。例えば武蔵大学では、近年定員増の申請をしておりますが、結果として入学定員を999名とし、収容定員4000人未満の小規模大学として存続をしていくのだろうなという戦略が見えますね。(学生を入れすぎて、履行状況等報告書で指摘も出ていますが。)