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大学職員が理解すべき大学設置基準と解説④教員組織 ※旧基準

※本記事は旧基準のため、、令和4年度の改正の基幹教員や主要授業科目の解説については下記をご覧下さい。
大学設置基準第4弾です。今回は第3章の「教員組織」についてです。この章は比較的シンプルです。
(教員組織)第七条 大学は、その教育研究上の目的を達成するため、教育研究組織の規模並びに授与する学位の種類及び分野に応じ、必要な教員を置くものとする。
 大学は、教育研究の実施に当たり、教員の適切な役割分担の下で、組織的な連携体制を確保し、教育研究に係る責任の所在が明確になるように教員組織を編制するものとする。
 大学は、教育研究水準の維持向上及び教育研究の活性化を図るため、教員の構成が特定の範囲の年齢に著しく偏ることのないよう配慮するものとする。
 大学は、二以上の校地において教育を行う場合においては、それぞれの校地ごとに必要な教員を置くものとする。なお、それぞれの校地には、当該校地における教育に支障のないよう、原則として専任の教授又は准教授を少なくとも一人以上置くものとする。ただし、その校地が隣接している場合は、この限りでない。
第八条及び第九条(授業科目の担当)
第十条 大学は、教育上主要と認める授業科目(以下「主要授業科目」という。)については原則として専任の教授又は准教授に、主要授業科目以外の授業科目についてはなるべく専任の教授、准教授、講師又は助教(第十三条第四十六条第一項及び第五十五条において「教授等」という。)に担当させるものとする。
 大学は、演習、実験、実習又は実技を伴う授業科目については、なるべく助手に補助させるものとする。
(専攻分野における実務の経験及び高度の実務の能力を有する教員)
第十条の二大学に専攻分野におけるおおむね五年以上の実務の経験を有し、かつ、高度の実務の能力を有する教員を置く場合であつて、当該教員が一年につき六単位以上の授業科目を担当する場合には、大学は、当該教員が教育課程の編成について責任を担うこととするよう努めるものとする。
(授業を担当しない教員)
第十一条 大学には、教育研究上必要があるときは、授業を担当しない教員を置くことができる。
(専任教員)
第十二条 教員は、一の大学に限り、専任教員となるものとする。
 専任教員は、専ら前項の大学における教育研究に従事するものとする。
 前項の規定にかかわらず、大学は、教育研究上特に必要があり、かつ、当該大学における教育研究の遂行に支障がないと認められる場合には、当該大学における教育研究以外の業務に従事する者を、当該大学の専任教員とすることができる。
(専任教員数)
第十三条 大学における専任教員の数は、別表第一により当該大学に置く学部の種類及び規模に応じ定める教授等の数(共同学科を置く学部にあつては、当該学部における共同学科以外の学科を一の学部とみなして同表を適用して得られる教授等の数と第四十六条の規定により得られる当該共同学科に係る専任教員の数を合計した数)と別表第二により大学全体の収容定員に応じ定める教授等の数を合計した数以上とする。
 第七条について 
 第七条は、設置基準第ニ条に示されている教育研究上の目的に即し、規模や学位にふまえて、適切な教員を置くこととしています。(例えば経済学の学部なのに、別分野の教員がほとんどといった事があっては教育研究上の目的が達成できるかは不明瞭です)
 また特例の年齢層に偏る事なくとしています。これは例えば設置して数年以内の学部や学科にとっては中々難しい問題です。毎年1回、設置計画履行状況等調査の結果が文部科学省のホームページに掲載されています。ここでよくある指摘として、教員の年齢構成が高い(該当の機関の定年の年齢を超えた教員が在籍している)といったものがあります。
 資格課程を認定する際にも言える事なのですが、学部等を設置するために認可申請で教員の業績が適切かどうか審査されます。大学側は若い先生を入れたいと思っても、審査を通過できる業績を持っている教員を学部等の目的やカリキュラムから考えると年齢構成に偏った教員組織になってしまう事も少なくありません。
 さて、二以上の校地で行う場合についてですが、「大学設置基準等の一部を改正する省令等の施行について(通知)19文科高第281号」に説明が記載されています。
 大学設置基準第7条第4項は、大学が二以上の校地において教育を行う場合についても、同第7条第1項から第3項までの規定の考え方の下、それぞれの校地において必要な教育体制がとられるべきことを明確化する趣旨であること。また、その場合において、校地が隣接はしていないものの極めて近接しており、学生に対する日常的な学習相談、進路指導、厚生補導等が支障なく行うことができる体制にある場合など例外的な場合以外については、それぞれの校地における教育体制の核となる専任の教授又は准教授を少なくとも1人以上置くことを求めたものであること。

第八条及び第九条について

ここは教員組織の制度である学科目制と教育研究の責任体制に関した講座制について記載されていましたが、大学設置基準の改正に伴い削除されています。

大学設置基準の一部を改正する省令の施行等について:文部科学省

(一) 学科目制・講座制について

学科目制・講座制については、その弾力的な運用を阻害しないよう、講座及び学科目を担当する教員についての規定の整理を行うとともに、講座外授業の規定を廃止したこと。(改正後の第八条第一項、第九条第二項及び改正前の第八条関係)

 
第十条について
ここで覚えておくのは、主要な授業科目は原則として教授もしくは准教授が担当するというものです。カリキュラムによって主要な授業科目は違うでしょうが、例えば学部学科を設置する際に「~~概論」という科目や必修科目が非常勤の教員が担当している計画にすると指摘されることはあるでしょう。
また令和元年8月13日に実務家教員に関する内容が10条の2として追加されました。
この改正では実務家教員はおおむね5年以上の実務の経験を有する者とされています。また2019年度の私立大学等改革総合支援事業タイプ1の設問でも求められていますが、実務家教員は1年に6単位以上の授業科目を担当する場合は教育課程の編成に係る事も求めています。
では実務を離れた年数は何年以内であればいいのでしょうか?ケースバイケースと国は言ってはいますが、目安として10年以内としてます。
 
第十一条について
授業を担当しない教員というと、例えばセンター所属や研究所所属などが考えられるかと思います。(ただ小規模中規模私立大学で補助金の観点も含め、こういう教員を何人もおけるかは難しいだろうなと思います。)
 
第十二条について
文面の通りなのですが、最近は関連のあるものとしてクロスアポイントメント制度がありますね。 
また私学と国立大学に例としてこんな発表もありましたね。
 
第十三条について

ここについては既に過去記事で解説をしておりますので、下記をご覧ください。

www.daigaku23.com

 この章は、人事や設置業務を行う上で欠かせないものです。あと重要な事は、先生方の研究業績書をきちんと分かるという事が重要だと思っています。時間があれば、所属機関の公開されている先生方の業績書などを目を通してみる事をおすすめします。

 例えば様式は大学の設置等の認可申請・届出に係る提出書類の様式の4-1や4-2を見てみるといいと思います。

申請・届出書類作成の手引、記入様式など:文部科学省