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平成29年度設置計画履行状況等調査の結果から見る是正意見について

 平成30年2月23日(金)に文部科学省のホームページにて「設置計画履行状況等調査の結果について(平成29年度)が公表されました。

設置計画履行状況等調査の結果について(平成29年度):文部科学省

 まず設置計画履行状況等調査とは何であるかを確認しましょう。上記リンク先にある結果には、この調査の概要が下記のように記載されています。

大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則(平成18年文部科学省令第12号)(以下「手続規則」という。)第14条(※1参照)に基づき,大学・大学院,短期大学,高等専門学校(以下「大学等」という。)の設置認可時等における留意事項及び授業科目の開設状況,教員組織の整備状況,その他の設置計画の履行状況について,各大学等からの報告を求め,書面,面接又は実地により調査を行い,各大学等の教育水準の維持・向上及びその主体的な改善・充実に資することを目的として実施するものである。

 おおまかなスケジュールとして、この調査は3月末ぐらいに文部科学省から依頼がなされ、5月中旬ぐらいに書類を提出、結果の通知がこの時期となります。そして結果は何か問題があると、留意事項、改善意見、是正意見、警告のいずれかがつき、併せて内容が掲載されるものとなっております。警告は近年だと平成27年度の結果で東京福祉大学がふされており、下記のような内容でした。

設置計画履行状況等調査の結果等について(平成27年度):文部科学省

教育課程の改善として授業科目を大幅に変更しているが、過年度入学者が履修した科目が学則上から削除されており、経過措置や読替規定も存在していない。学生への説明は実施しているとの説明であったが、既修得科目の読み替え等が学則等で明確に規定されていないのは不適切である。旧課程の履修者に対応した適切な規定を設け、学生に対して十分に説明すること。(教育学部教育学科、教育学部教育学科(通信教育課程))

 平成29年度は警告はなく是正意見が5大学6項目ありました。そこで今回は是正項目について、気になった項目のみ個人の観点から解説メモをつけてみます。まずは平成29年度の是正意見を確認してみましょう。

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1・武蔵大学の定員超過と推薦入試について

 武蔵大学は平成28年度に下記の形で定員増を行い、平成29年度から950名であった入学定員を999人としています。(999人というのは小規模大学で生き残っていこうという戦略でしょう)

 では武蔵大学の近年の入学者数及び入学定員はどのように変わっているのでしょうか。下記から今年度の情報公開を見ることが出来ます。

www.musashi.ac.jp

また見やすいように上記サイトから下記の表を作成しました。

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さらに入学定員の超過率も算出してみました。

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確かに定員増をしたのに、人文学部以外は入学定員超過率が上がっています。また推薦入試が入学定員の5割を超える合格者の指摘については入学者選抜実施要項に次の点が該当します。

平成29年度入学者選抜実施要項

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/07/06/1282953_03.pdf

第8 募集人員
1 各大学で募集する人員は、所定の入学定員による。なお、入学定員は、教員組織、施設、設備等を総合的に考慮して定められていることを十分踏まえ、入学定員を著しく超えて入学させないものとする。このことは、編入学試験を実施する際も同様とする。
大学における推薦入試の募集人員は、附属高等学校長からの推薦に係るものも含め、学部等募集単位ごとの入学定員の5割を超えない範囲において各大学が定めるものとする。短期大学における推薦入試の募集人員は、上記にかかわらず、推薦入試以外の入試方法における受験機会の確保にも配慮して、各短期大学が適切に定める。
3 各大学は、例えば、学科ではなく学部単位で募集するなど、募集単位を大くくり化することにより、入学志願者が大学入学後に幅広い分野の大学教育に触れながら自らの適性や関心等に基づき、専攻分野を決めることができるようにすることが望ましい。
4 各大学においては、入学定員の充足や欠員の補充の方法等について事前に準備をするよう努める。

最後に関連する大学設置基準を記載しておきます。

<参考>大学設置基準第18条(収容定員)

第十八条 収容定員は、学科又は課程を単位とし、学部ごとに学則で定めるものとする。この場合において、第二十六条の規定による昼夜開講制を実施するときはこれに係る収容定員を、第五十七条の規定により外国に学部、学科その他の組織を設けるときはこれに係る収容定員を、編入学定員を設けるときは入学定員及び編入学定員を、それぞれ明示するものとする。

2 収容定員は、教員組織、校地、校舎等の施設、設備その他の教育上の諸条件を総合的に考慮して定めるものとする。

3 大学は、教育にふさわしい環境の確保のため、在学する学生の数を収容定員に基づき適正に管理するものとする。

 

 2・武蔵大学の留学認定科目

 武蔵大学のホームページを見る限りは、科目区分で専門科目の全学専門対象科目の部分でしょうか。

学科の特長とカリキュラム|武蔵大学

 シラバスを「留学」で検索してみると、国際センターが担当している海外研修がありましたので、これではないかと推察しています。ただシラバスを見る限りは、授業・プログラムの内容がまったく読み取れません。(海外研修で単位をつけるという事で同様の事をやっている大学もあるのではないでしょうか)

<参考>関連大学設置基準

(教育課程の編成方針)

第十九条 大学は、当該大学、学部及び学科又は課程等の教育上の目的を達成するために必要な授業科目を自ら開設し、体系的に教育課程を編成するものとする。

2 教育課程の編成に当たつては、大学は、学部等の専攻に係る専門の学芸を教授するとともに、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を 涵かん 養するよう適切に配慮しなければならない。

               

(他の大学又は短期大学における授業科目の履修等)

第二十八条 大学は、教育上有益と認めるときは、学生が大学の定めるところにより他の大学又は短期大学において履修した授業科目について修得した単位を、六十単位を超えない範囲で当該大学における授業科目の履修により修得したものとみなすことができる。

2 前項の規定は、学生が、外国の大学又は短期大学に留学する場合、外国の大学又は短期大学が行う通信教育における授業科目を我が国において履修する場合及び外国の大学又は短期大学の教育課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられた教育施設であつて、文部科学大臣が別に指定するものの当該教育課程における授業科目を我が国において履修する場合について準用する。

 3・シラバスにおいて定期試験を行う科目について

  これはまず単位制度について理解をしておく必要があります。それについては過去に関連記事がありますのでそちらをご覧下さい。

www.daigaku23.com

  また学士課程答申にも次のように記載されています。

学士課程教育の構築に向けて(答申):文部科学省

1単位当たりの授業時間数が,大学設置基準の規定に沿っている必要がある。具体的には,講義や実習等の授業の方法に応じて15~45時間とされており,講義であれば1単位当たり最低でも15時間の確保が必要とされる。これには定期試験の期間を含めてはならない。

  あと気になったのは、100分以上の授業をやっている大学でも履行状況等報告書は出している所がありましたが、そこは特には触れられてはおりませんでした。

 

 履行状況等報告は大学の質保証システムの1つとして位置づけられるものです。(分かりやすい図は下記リンクの15ページをご覧下さい)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/015/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2015/12/25/1365312_10.pdf

 そこで指摘された事項は大学としてどのように対応するかは、認証評価でも報告をする事があります(大学基準協会では、指摘事項について対応をしたかどうかも記載します)もしかするとこういう指摘事項は執行部や設置担当者のみしか見ないかもしれませんが、全学で共有は不可欠ではないかと思っています。