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履修証明制度(履修証明プログラム)の一部変更に関するメモ書き

 新卒で社会人になった頃は、まず仕事に必要な知識やスキルを1ヶ月の泊り込み研修で叩き込まれ、損害保険募集人の資格と取らされたり、仕事を行う上で必要な民間資格もしくは国家資格を取る必要がありました。

 今の仕事についてからは立場上&業務上としても勉強しないとついていけない事が多く細々と学びをしている訳ですが、社会人になったら勉強しなくて良いと思っていた高校生・大学生時代とはまったく異なった生活になっているなと日々感じています。

 さて、大学職員が学ぶ上で様々な研修や勉強会もあります。また近年は大学院や大学で働く人向けの履修証明プログラムがあります。例えば東北大学、京都大学、千葉大学といったプログラムが有名でしょうか。

www.ihe.tohoku.ac.jp

www.coc.kyoto-u.ac.jp

alc.chiba-u.jp

 

 さて、履修証明プログラムですが文部科学省の下記のホームページに詳細が出ておりますのでまずはこちらをご覧下さい。

大学等の履修証明制度について:文部科学省

また上記HPに掲載されている概要資料から抜粋するとこのように記述されています。

○対象者:社会人(当該大学の学生等の履修を排除するものではない)
○内 容:大学等の教育・研究資源を活かし一定の教育計画の下に編成された、体系的
な知識・技術等の習得を目指した教育プログラム
○期 間:目的・内容に応じ、総時間数120時間以上で各大学等において設定

 つまり社会人を対象とした体系的な知識技術を習得する120時間以上のプログラムとなります。また120時間とありますが、総時間数であるという点と単位制度の考えと異なり予習復習時間を含まないという事については留意が必要です。

 この120時間という根拠ですが「文部科学時報 2008.10」のP55~P56に次のように記載されています。

二つ目は、履修証明プログラムは、総時間百二十時間以上で編成することです。

 百二十時間という時間数については、体系性、専門性を確保するためには一定量の学修が必要と考えられること、我が国の履修証明制度創設にあたって参考としたアメリカの履修証明プログラムが十五単位程度としているものが一般的であること、一方で社会人が働きながら半年~一年程度の期間をかけて学修するのに無理のない分量であること等を勘案し、十五単位の半分程度の八単位相当(一般的な大学の授業科目で半年間に四科目分に相当)を下限としたものです。

   さて、ようやく本題なのですが、この120時間(の根拠法令の改正)に関するパブリックコメントが平成30年2月14日に出されました。(案件番号185000960 学校教育法施行規則の一部を改正する省令案)

※平成30年2月14日12:40時点で該当のパブリックコメントは削除されているようです。

search.e-gov.go.jp

 このパブリックコメントを見る上で、まずこの履修証明プログラムの根拠法令を確認します。

学校教育法

第百五条 大学は、文部科学大臣の定めるところにより、当該大学の学生以外の者を対象とした特別の課程を編成し、これを修了した者に対し、修了の事実を証する証明書を交付することができる。

 学校教育法施行規則

 第百六十四条 大学(大学院及び短期大学を含む。以下この条において同じ。)は、学校教育法第百五条に規定する特別の課程(以下この条において「特別の課程」という。)の編成に当たつては、当該大学の開設する講習若しくは授業科目又はこれらの一部により体系的に編成するものとする。
2 特別の課程の総時間数は、百二十時間以上とする。
3 特別の課程の履修資格は、大学において定めるものとする。ただし、当該資格を有する者は、学校教育法第九十条第一項の規定により大学に入学することができる者でなければならない。
4 特別の課程における講習又は授業の方法は、大学設置基準、大学通信教育設置基準、大学院設置基準、専門職大学院設置基準、短期大学設置基準及び短期大学通信教育設置基準の定めるところによる。
5 大学は、特別の課程の編成に当たつては、当該特別の課程の名称、目的、総時間数、履修資格、定員、内容、講習又は授業の方法、修了要件その他当該大学が必要と認める事項をあらかじめ公表するものとする。
6 大学は、学校教育法第百五条に規定する証明書(次項において「履修証明書」という。)に、特別の課程の名称、内容の概要、総時間数その他当該大学が必要と認める事項を記載するものとする。
7 大学は、特別の課程の編成及び当該特別の課程の実施状況の評価並びに履修証明書の交付を行うために必要な体制を整備しなければならない。

 今回改正がおそらくされるのは平成31年4月から赤字の箇所の百二十時間から六十時間となるようです。どうやら現状の履修証明プログラムとの実態にも合わせてという話ですが、時間数が減少するということは当初の制度設計に無理があるようです。

 そもそも百二十時間は主催する大学としても受講者側としてもかなりの負担です。また近年は私立大学等改革総合支援事業のタイプ2で履修証明プログラムの有無(含む、履修証明プログラムの修了証の発行の有無)が求められておりました。

 ただこのプログラムを構築するにあたり、学校教育法施行規則では設置基準に則るとしてますので下記を考慮する必要があります。

大学設置基準

(授業の方法)

第二十五条 授業は、講義、演習、実験、実習若しくは実技のいずれかにより又はこれらの併用により行うものとする。

2 大学は、文部科学大臣が別に定めるところにより、前項の授業を、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができる。

3 大学は、第一項の授業を、外国において履修させることができる。前項の規定により、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させる場合についても、同様とする。

4 大学は、文部科学大臣が別に定めるところにより、第一項の授業の一部を、校舎及び附属施設以外の場所で行うことができる。

 そうすると講義にこだわる必要はないし、多様なメディアを利用することも考えられるわけです。またここからはこういう制度はどうだろうというものですが、MOOCの活用や複合大学による履修証明プログラムの開発と運用というのもあっては良いのではないかと思っております(小規模大学が履修証明プログラムを構築するのは学問分野上、難しい事もあるかもしれませんし)。

 

 最後に関連する人生100年時代構想会議の資料の抜粋を挙げておきます。特にリカレント教育に関する部分はきちんと読んでおく必要があるのではないでしょうか。

人生100年時代構想会議中間報告より

人生100年時代構想会議

(P1)

初回において、全ての人に開かれた教育機会の確保、何歳になっても学び直
しができるリカレント教育、これらの課題に対応した高等教育改革、新卒一括
採用だけでない企業の人材採用の多元化、多様な形の高齢者雇用、高齢者向け
給付が中心となっている社会保障制度の全世代型社会保障への改革を、中心的
に取り扱うテーマとして整理した。

(P1)

本構想会議は、この政策パッケージを基礎として、本中間報告を取りまとめ
るものであり、そのポイントは、幼児教育の無償化、待機児童の解消、高等教
育の無償化、私立高等学校の実質無償化、保育・介護人材の処遇改善である。
年明け以降は、リカレント教育や大学改革などの残された論点について更に議
論を進め、来年夏には基本構想を打ち出すこととする。

(P12)

第9章 来年夏に向けての検討継続事項
(1)リカレント教育
人生 100 年時代においては、これまでのような、高校・大学まで教育を受け、
新卒で会社に入り、定年で引退して現役を終え、老後の暮らしを送る、という単
線型の人生を全員が一斉に送るのではなく、個々人が人生を再設計し、一人一人
のライフスタイルに応じたキャリア選択を行い、新たなステージで求められる
能力・スキルを身につける機会が提供されることが重要である。こうした教育と
社会の循環システムの中心となるのが、「リカレント教育(学び直し)」である。