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自己点検評価はトップダウンなのか

 大学で働いていると、どの部署にいても大概は年度末に「自己点検評価報告書を作成し、提出せよ」と言われる事が多いかと思います。そうすると、今年の点検と次年度こうしたらとか、こうしたいという希望や計画を書くことが多いのではないでしょうか。

 

そもそも自己点検評価は、法令から言えば、学校教育法が実施の根拠となります。

第百九条 大学は、その教育研究水準の向上に資するため、文部科学大臣の定めるところにより、当該大学の教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備(次項において「教育研究等」という。)の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するものとする。
○2 大学は、前項の措置に加え、当該大学の教育研究等の総合的な状況について、政令で定める期間ごとに、文部科学大臣の認証を受けた者(以下「認証評価機関」という。)による評価(以下「認証評価」という。)を受けるものとする。ただし、認証評価機関が存在しない場合その他特別の事由がある場合であつて、文部科学大臣の定める措置を講じているときは、この限りでない。

 また学校教育法施行規則にも次のように定められています。

学校教育法施行規則
第百六十六条 大学は、学校教育法第百九条第一項に規定する点検及び評価を行うに当たつては、同項の趣旨に即し適切な項目を設定するとともに、適当な体制を整えて行うものとする。 

 今回は割愛しますが、内部質保証や上記の第百九条第二項にあるように認証評価からも自己点検評価の実施を避けては通れません。

特に認証評価は、平成30年度から第3期をむかえ、「内部質保証サイクルがあり、行われていること」が前提ですので、自己点検評価を行っていないとか、認証評価の機会に行いますといった事は想定されていません。

 

 さて、自己点検評価ですが、原則として何らかの方針や指針に基づいて、それを達成する事を目指して行うものであるという捉え方がされるのではないでしょうか。

 そうすると現場で感じるのは、「自己点検評価は大学の上層部が定めた方針や指標を達成する為の手段ではないのかといった懸念」あるいは「自己点検評価はトップダウンで行われ強制されるもの」という捉え方をするのではないかと思う事があります。

 

 ふと思うのは、方針や指針を見直すときに何を基に見直しを行うのだろうというのがあります。そうすると、現場でやってきた点検評価報告書に「~~について、今後見直しが必要」とかの根拠のある記述であれば、それを基にする必要があるでしょう。

 

 また、法令や政策が変わり見直しをする必要や、当初の計画と想定されていたアウトプットやアウトカムと異なり、思いもかけない成果が出る事があるかもしれません。その場合、自己点検評価報告書に記載する必要もあるでしょう。

 

 ただ自己点検評価が、その部局や部署だけでグルグルまわっているだけではなく、最後は大学レベルへと上がっていくシステムがある事が大前提です。

 これがあれば、自己点検評価はトップダウンではなく、各組織レベルのコミュニケーションの一つとして機能するかもしれません(これは内部質保証システムの1面だと考えています)

 大学上層部だけではなく、大学の構成員が内部質保証や自己点検評価について理解をし、機関においてどのような意味づけ・位置づけを持たせるかを示し、共有と理解を深める事をしないと難しい事でもありますね。