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【メモ】大学設置基準と教職協働について

 先日、「大学設置基準等の改正について(諮問)」が出され、同日で答申が出されました。

大学設置基準等の改正について(諮問):文部科学省

大学設置基準等の改正について(答申)(中教審第200号):文部科学省

 この中身としては、大学、高等専門学校、大学院、短期大学、専門職大学院の設置基準に関わるものです。大学設置基準の改正内容としては次となります。

第一 大学設置基準の改正
一 教員と事務職員等の連携及び協働
大学は,当該大学の教育研究活動等の組織的かつ効果的な運営を図るため,当該大学の教員と事務職員等との適切な役割分担の下で,これらの者の間の連携体制を確保し,これらの者の協働によりその職務が行われるよう留意するものとすること。
二 事務組織
大学は,その事務を遂行するため,専任の職員を置く適当な事務組織を設けるものとすること
三 国際連携学科に係る卒業の要件
国際連携教育課程に係る授業科目の履修により修得する単位数には,入学前の既修得単位の認定により修得したものとみなす単位を含まないものとする規定について,国際連携教育課程を編成し,及び実施するために特に必要と認められる場合は,この限りでないこととすること。
四 その他所要の規定の整備を行うこと。

  今回の記事の論点としては、第一と第二ですが、第一は教職協働について言及されています。まあ、私が大学に入職した頃は、「教職協働」と言われ、車の両輪の例え話を良く聞きました。また、学生も入れて三輪とするという話もあったかと思います。

 さて、教職協働について考えていく上で、まず押さえておくのは、法令上の職員の根拠は何処にあるかです。まずは大学設置基準ではなく学校教育法の第92条(職員)を見てみましょう。

第九十二条  大学には学長、教授、准教授、助教、助手及び事務職員を置かなければならない。ただし、教育研究上の組織編制として適切と認められる場合には、准教授、助教又は助手を置かないことができる。
○2  大学には、前項のほか、副学長、学部長、講師、技術職員その他必要な職員を置くことができる。(以下、略)

この規程では、学長や教員、そして事務職員を置かなければならないとされています。ただここでは事務職員の役割については触れられておりません。

次に省令である大学設置基準はというと関連あるのは下記となります。

(事務組織)
第四十一条  大学は、その事務を処理するため、専任の職員を置く適当な事務組織を設けるものとする。
(厚生補導の組織)
第四十二条  大学は、学生の厚生補導を行うため、専任の職員を置く適当な組織を設けるものとする。

現状の大学設置基準だと教職協働というよりかは、事務や厚生補導の為の専任の職員がいる組織の設置が、最低限の基準です。

 まあ近年は事務組織に限らず、研究支援、IR、地域支援や地域連携をはじめとして様々な分野で職員が教員と一緒になって業務を行っているケースが多くなっていると思います。同様に諮問には次のようにあります。

大学教員を取り巻く職務環境の変化も踏まえ,教員・事務職員等の垣根を越えた取組が一層必要となっており,各大学が,教員と事務職員等とが連携協力して業務に取り組む重要性を認識し,教職協働の取組を進めていく必要がある。

また次の調査等の結果もあります。

www.mext.go.jp

上記のリンク先の1枚目には、教職協働を進めるための必要事項とあります。項目としては教職員相互の理解、目標・方針の共有や一致、教員と職員との権限や責任の明
確化、職員の専門性の向上あたりがだいたい50%前後です。

確かに個人の主観ですが、教職員相互の理解と、責任の明確化、職員の専門性の向上については日々感じています。

ただまず責任の明確化は、「●●は教員です」とか「■■は職員の領域ではないので、責任はとれません」と教員に押しつけ、職員は責任を回避する事ではないかと思います。あとは、教職協働といっても、職員がプチ教員化する事でもないよなとも思っています。

まあ、職員がどのように関わるかは、組織文化による所もあるよなと思っておりますが、果たして設置基準に教職協働について記載する事が良いことなのかは、イメージが出てきません。「教職協働が設置基準に書かれている。では教職協働だ!」となるイメージがないとも言えます。