文部科学省が進めている高大接続改革の議論の中に、英語の外部テストの導入・活用の話題がありました。入試において、TOEICやTOEFLのスコアを活用するとの事ですが、スーパーグローバルに選定された大学は検討していると、同業者から話を聞きます。
さて、今回は大学ポートレート(私学版)から外部テストの活用の現状について整理してみます。
大学ポートレートでは「本学での学び>学修についての評価>外部テストの活用」 がありますので、ここを記載している大学の一覧を抽出しました。(2015年12月時点となります)
また具体的な記載がない大学を除外すると、具体的な記載がある大学は145大学でした。なお、大学ポートレートの外部テストの活用欄の説明として次のように記載されています。
『外部テストの活用』とは?
TOEICやTOEFLといった学校の外部で行われているテストを、大学や短期大学の入試や単位認定などに活用する取り組み。
さて、これをふまえてどのように記載しているかを確認しましょう。ここでは全てを紹介したいのですが、145大学の表を張ると、量が多くなってしまうので、一部のみ紹介します。
下記の表は、個人的に面白い・具体的な記載があると感じた大学です。
(大学ポートレートの記載内容をもとに、学年を指定している内容は、学年の列に記載しています。また見やすいように3枚に分割しています)
実際はここに載っていない大学もたくさんありますが、全体の傾向として外部テストは次のように使用されています。
①単位認定として
おそらく、この取組みが今回の記載一覧で一番多いでしょう。英語ではTOEIC○○点など具体的な基準を示している大学もあります。英語以外の語学でも、フランス語や中国語を取り上げている大学もいくつかありました。ここは学生や保護者が気になる箇所ですね。TOEICのスコアは他でも使えるし、単位をもらうなら「一石二鳥!」と思ってしまいます。大学ポートレートにもこの内容を記載するとなっておりますので、単位認定の取組み例が多いのは、当たり前ではあるのですが。
②入学前、もしくは1年次にテストを行い、1年次履修クラス分けの基準として
1年次必修授業(例えば英語や日本語等)のプレースメントテストとして活用されている例も多いようです。英語を習熟度別にクラス分けし、それぞれに合った授業を展開するのですね。理系では、数学、生物及び化学といった例もありました。
③資格等の対策として
3年次(5・6年次)に資格試験対策として、外部テストを活用している例も散見しました。医学部系では共用CBTが多かったですね。
- CATO - 社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構
④就職試験対策として
SPIなど就職試験対策として外部テストを活用している大学もあります。内容を見る限りは、各大学の就職課等でやっている事は多いと思いかと考えられます。
⑤汎用的能力等の把握や評価として
PROG等を活用して把握する取組みもありました。大学によっては、1年次と3年次に行い、能力の成長を把握できるようにしている例もあります。
大きくは5つに分けられました。大学ポートレートに記載していない大学もあるので、この限りではないですが、大まかな取り組みは把握はできたと思います。ただ、①単位認定は、学生からすると「資格と単位ゲット!」とメリットは大きいですが、大学としては「何故その資格(スコア)を取ると単位認定ができるのか」は明確に根拠を用意し外部説明できるようにしておく必要があると考えます。
最後に今回、参考にしたのは大学としての記載欄ですので、各学部学科では様々な取り組みをしていると思います。気になる所は、大学ポートレートでは各学部等の情報や、各大学のHPに掲載されている自己点検評価報告書等を参照する事が必要です。
(結局、145大学の表は作ったけど、ブログではアップできなかったので、またどこかで紹介できればと思います)