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MOOC(大規模オンライン講座)における大学のメリットと負担

自分のツイッターは、大部分が高等教育の関係者ですので、MOOC(大規模オンライン講座)の関する情報を目にする事も多いですし、セミナー等でも話を聞くことが多いです。

(例えば京都大学の飯吉先生によるオープンエデュケーションに関する記事は、教育学術新聞でも掲載されていましたし、様々なセミナーでもお話をされていました。)

※参考 私学高等教育研究所 :アルカディア学報|日本私立大学協会

しかし、実際は周りの人に話を伺ってみると、「MOOCは、よく聞く反転授業でしょ」など、実は高等教育関係者には、まだまだ認知・理解されていない分野で思います。

 

また、インターネットやテレビ等でもMOOCについて紹介されています。昨日は、中日新聞の社説にも取り上げられていました。

中日新聞:大学ネット講義 知の格差なくす契機に:社説(CHUNICHI Web)

 内容は、教育格差について触れ、

大学の正規の単位として認められたり、就職で評価されたりするまでに社会の信認が高まれば、企業の採用活動にも影響するだろう

 とも書かれています。。

正規の単位として認められるには、かなりハードルが高いと思います。そもそも1単位になりうる学習時間は担保できているのか?、本人が講義をきちんと受けているか=替え玉になっていないか・映像を流すだけで見ていないのでは?(ネットを通じた授業を行う大学は、このあたりはウェブカメラなどで本人認証も行っている所もあるどうです)、そもそも大学に科目等履修生で単位取得している人がいるのに、無料で単位はそうやすやすと認めることは難しいと思います。

 

さて、MOOCについて、学習者としてのメリットはかなり目にすることが多いですが、大学側視点で考えるとどうなのでしょう?そこでふと思ったものを下記にあげてみました。

 

○ 募集に利用できる(含むブランディング

 どのような層が受講するかによっても異なりますが、大学の特色のある授業を公開することにより、興味をもってもらえて、募集戦略の一つに組み込むことができます。授業によっては、大学の特色を強く打ち出せるので、ブランディングにもつながります。JMOOCでは、聞いたところによると、登録者は男性が多く、かつ男性は40代が多いとの事ですので、社会人向けの募集戦略にも有効に活用できそうです。(JMOOCでは、グロービズ経営大学院が「経営(マネジメント)入門」や名古屋商科大学の「ビジネススクール(入門)」は、そのへんも狙ってのことだと思います)高校生はまだ登録者数が少ないので、東京大学などならともかく、地方私大がどこまでアプローチできるかは検討が必要かと思います。

 

○学生の補完授業やFDとしても利用できる

 MITではこのように使われていることが多いと聞きましたが、学生には特に補完・補修授業として期待できそうです。

 

○高大接続、地域貢献や生涯教育の場として活用ができる。

 大学では公開講座等も開かれていますので、このような場を利用することも考えられます(金銭面を考えると、検討する必要がありますが)

 

その他、メリットではありませんが

○公開している授業のレベルが、その大学の講義レベルのスタンダードとして見られる

○コンテンツ作成や運営には非常に労力やお金がかかる。(募集費と考えれば微々たるものですが。また90分の授業と動画を用いた授業では、構成が異なるため、教員やSA・TA・職員などの実働が必要です)

 

個人の考えとしては、広告を1本出すぐらいなら、MOOCに参加したほうが効果があるのではと思うのですが・・・。

 

私もJMOOCに登録して、来週から「オープンエデュケーションと未来の学び」を受講しますので、講座を開講している大学への感謝のもとに、参加者と大学側からどのような知見を得られるかが非常に楽しみです。